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温暖化による極端な降水の変化について、論文が掲載されました

2025年10月16日

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将来、地球温暖化が進行した時に、豪雨・台風・猛暑・干ばつといった極端な気象現象がどのように変化するのか、ということを理解することは、科学的にも社会的にも重要な課題です。
日本気象株式会社Sridhara Nayak主任研究員(元:京都大学防災研究所特任准教授)と京都大学防災研究所 竹見哲也教授の研究グループは、集中豪雨を念頭に置き、日本における極端な降水の温暖化時の変化の仕方について、気候予測データを用いて明らかにしました。使ったデータは、数値気候モデルを用いた現在の気候を再現した実験と、4℃上昇した温暖化気候を予測した実験結果で、20 kmの分解能を持つものです。日本を7つの地域に区分して、地域性も調べました。
現在気候、温暖化気候ともに、気温が高いほど、極端降水は強まります。この極端降水の強まり方は、気温1℃上昇当たり7%程度の割合で増大します。特に、関東・中部地方より西側の地方では、この傾向が当てはまります。極端降水の中でも最も強い雨が出現する気温は、1年を通して気温が最も高い条件よりは、その次に気温が高い条件の時です。このような気温の条件の時に、湿度が高く、水蒸気が豊富に供給され、雨を強化します。そして、温暖化が進行するほど、極端降水が強まります。
今後は、より高分解能のデータを使って、集中豪雨への気候変動の影響を適確に把握することが必要です。
本研究成果は、2025年10月15日に国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。
気温と飽和水蒸気量の関係
研究者のコメント
地球温暖化により豪雨・台風といった極端気象がどのように変化するのかということを理解することは、科学的に興味深いとともに、社会的にも重要な課題です。温暖化による極端気象がどうなるのかということを、科学的に正確な根拠で定量的に示していくよう、今後も研究を進めたいと思っています。
詳しい研究内容について
論文タイトルと著者
タイトル:
Regional and vertical scaling of water vapor with temperature over Japan during extreme precipitation in a changing climate(気候変動に伴う温度上昇に対する日本の極端降水時の水蒸気量分布の地域特性および鉛直特性)
著者:
Sridhara Nayak, Tetsuya Takemi
掲載誌:
Scientific Reports    DOI:10.1038/s41598-025-22287-6

「Scientific Reports」URL