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ドローンを用いたスキャニングライダー風況観測に関する特許を取得しました

2024年2月29日

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日本気象株式会社は、スキャニングライダーによる風況観測において、ドローンを用いた新たなハードターゲットキャリブレーション手法を開発し、2023年12月15日に特許を取得しました。
背景
国内で進められている洋上風力発電開発では、各沿岸海域の条件に適した信頼性の高い風況観測手法や観測計画指針の確立が求められています。コスト効率の良い手法としてスキャニングライダーの導入が進んでおり、日本気象では全国の開発海域においてスキャニングライダーを用いた風況調査や研究開発を行っています。

スキャニングライダーなどのドップラーライダーは、リモートセンシング技術の一つで、レーザー光を大気中に照射し、大気中のエアロゾルからの散乱光のドップラー効果による波長変移を観測することにより、風向風速を算出します。スキャニングライダー観測では、スキャニングライダーのビーム照射角を高精度に調整するために、ハードターゲットキャリブレーション(以下、HTC)の実施が必要となります。その際に、ハードターゲットとなる近隣の構造物が必要となりますが、洋上における調査では、HTCへの利用に適した構造物がない場合が想定されます。日本気象では、そうした場合に、ホバリングが可能な無人航空機(ドローン)による代用について研究と検証を進めてきました。
本特許について
今回取得した特許技術は、HTCにおいて、ホバリングするドローンにスキャニングライダーから射出したレーザー光を当て、ドローンによって反射した光をスキャニングライダーで検出することにより、より正確な風況観測のための方法および風況観測システムを提供することを目的としています。本技術を用いることで、構造物のない洋上での風況観測においても、光軸誤差を補正して正確な風況データの取得を低コストで行なうことが可能になります。

日本気象は国内で急速に進められる洋上風力発電開発において、技術的課題の解決に取り組むと共に、洋上風力発電の導入拡大に貢献します。
特許の概要
【発明の名称】光学式遠隔気流計測装置を用いた方法、及び風況観測システム
【特許番号】特許第7403889号(P7403889)
【特許権者】日本気象株式会社
【登録日】2023年12月15日

特許情報プラットフォーム J-PlatPat
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7403889/15/ja
スキャニングライダーを用いた風況観測
スキャニングライダーを用いた風況観測
参考
「ドローンを用いた新たなスキャニングライダーのハードターゲットキャリブレーション手法」
日本風力エネルギー学会誌 令和5年2月 第46巻 第4号(通巻 第144号)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jwearonbun/46/4/46_50/_pdf